釣行記   リストへ戻る

復刻フラポッパーで2011年初釣りの巻 釣行日:2011年3月20日
天候:曇りのち雨

フレッドアーボガスト社の1950年代のカタログ



このカタログの中にある、おなじみの社屋の絵



この2階建てのレンガ造りの工場が建てられたのは1947年のこと。

住所は、313 WEST NORTH STREET, AKRON 3, OHIO

この住所をグーグルのストリートビューに入れてみると、



なんと、まだ建物がありました。

現在は車の修理工場になっているようです。

外装はかなり変わっておりますが、間違いないと思われます。

右側の建物は1965年に増築した部分であり、

もともとのフレッドの最初の工場はここにあったとされています。

つまり、ここがアーボガストの聖地、アクロン(Akron)であり、

ヘドンでいえば、ドアジャック(Dowagiac)ということになるわけです。


ところで、この工場の着工は、1947年ということになっていますが、

フレッドが亡くなるのも1947年だとされています。

調べてみると、フレッドがスケート中に倒れるのは、

この建物が完成する直前だったようです。

したがって、フレッドはこの工場の完成を見ることなく、

あの世に逝ってしまったことになります。

さぞかし無念だったでしょう。

既にこのとき、フレッドアーボガストは11種類のルアーを発表していたとされ、

その中には後の稼ぎ頭、ジッターバグ、フラポッパーも含まれています。



現代でいうところのカリスマルアーデザイナー、

偉才の創業者フレッドアーボガストさんが亡くなってしまったのですから、

会社にとっては、さぞかし一大事だったでしょう。

その後、経営権は奥さんと息子のアレンさんに引き継がれますが、

1953年に会社は他人に売却されます。

それを買った人が、Cy Porthouse という人です。
(名前を何て読むか分からないので英語で書いてます)

この人は当時、筆頭株主だったはずですが、なぜか副社長でした。

やはり社長はアーボガストのような釣りキチでなければならない。

そう考えられていたようで、しばらくして社長に抜擢されたのが、

当時、年間150日釣行していたといわれる釣りキチ、

DICK KOTIS(ディック・カーチス)です。

上の写真でいうところの左下の、ちょっとサル系(失礼!)の人物です。

ですから、フレッドアーボガストさんは、自分の死んだ後に、

カタログの下でこんな人が社長をするなんて、全く予想もしていなかったし、

実際、彼とは生前に面識もなかったということになります。


ところで、フライロッドフラポッパーは初期型と、1950年ごろまでは

確かにアーボガスト自身のデザインですが、それ以降のフラポッパーは

実はディック・カーチスによるものです。

たとえばコレ↓1950年ごろまでのフライロッドフラポッパー



上アゴが大きく張り出したタイプで、これはアーボガストのデザインです。

それが、1960年代になると、上アゴの張り出しが抑えられ、

ラバーレッグが付き、ヘッド前面が赤に塗装されます。



このタイプのフラポッパーは、

アーボガスト社製ではありますが、デザインはディックカーチスによるものであって、

本来はディック・カーチスのフラポッパーと呼ばれるべきであると、

最近、勝手に思い込んだわけです。

そして以前から、このタイプのフラポッパーを復刻すべく、

当時のコルクヘッドを型取りし、何度も試行錯誤を重ねて、

ようやく完成したのがこのヘッドです。



超軽量、オリジナルのコルクと重量も全く同じ0.4g



型はこんな感じです。



昨年より、さらに改良を加えた結果、型は上下分割タイプになりました。

使用するフックも、ようやく探していたものが手に入りました。



デッドストックのマスタッド33900の#1/0

フレッドアーボガストの1/16o.z.フラポッパーに使用されていたフックは、

このマスタッド33900の別注バージョンだと思われます。

サイズは1954年のカタログによると、1/0フックとあります。



つまり、これを使うことで、フックまで完璧な復刻となるわけです。

しかし、どうしてもネックになるのが、フラスカートです。

オリジナルのラテックスラバー製のフラスカートは、今はどこにも売ってません。

シリコン製品ならいくらでもありますが、やはりシリコンではダメなんですよ。

ヒラヒラ感がイマイチなのと、表面の質感とか、全く違うのですね。

そこで結局、液体のラテックスを使って、シートから作成することになったのでした。



これが液体のラテックス。

アルミ版をコレに浸して乾燥させるとシートができるというものです。

しかし、これが最初はなかなかうまくいきません。

シートの厚さは0.1mm〜0.2mmに仕上げる必要があります。

厚さが均一にならないんですね。

最終的にはアルミ版の形状を工夫して、リサイクルショップから食器乾燥機を購入し、

その中で乾燥させると速く均一に仕上がることがわかりました。



そして完成したシートを抜き型の上に被せ、

その上にプラ板をのせて強くプッシュすると・・・・・



こんな感じでオリジナルと見分けが付かないフラスカートができちゃうのです。



材質も寸法も、おそらく製法も?全く同じの20テイルフラスカート!

ちなみにフライロッドフラポッパー1/16o.z.のフラスカートは、

5/8o.z.フラポッパーのフラスカートと同サイズだと思われます。


こうして苦節2年、フレッドアーボガスト社の1960年代フラポッパーは、

DON WEST製ディックカーチスポッパーという名で完全復刻されたわけです。

まあ、復刻といっても、ボク自身で使うだけですが・・・・(笑)。

当然のことながら、アクション、レスポンスはオリジナルと全く一緒。

バスタブの中でも確認しましたが、薄作りのフラスカートのヒラヒラ感は

結構釣れそうで、スゴイものがあります

Actually the rubber skirts slowly curl up while the bug is at rest on the water!
水面でのポーズ中にもラバースカートはゆっくりとくねっているのです。

というフラポッパーの説明書きが大げさでないことがよく分かります。

それくらい、シリコン製のスカートとは質が違うのです。



ということで、ここからがようやく釣行記です。

早春の3月20日、完成したこのポッパーの威力を試そうと、

水温14℃を超えたばかりの近所の池へと出撃したのでした。



ちなみに、本当はこっちで釣りたかったのですが、

ポーズ中にいきなり出て、ラインブレイクして持っていかれてしまいました。

たぶん、ダンカンループノットが2回しか入ってなかったのだと思われます。

久しぶりに釣りに行くと、このザマです。

もうひとつのサンプルは、これまで何度もテストしていたやつで、

ラバーレッグが付いていません。

仕方がなく、とりあえず、岸際にキャストしてポーズをとります。

ポコン、ポコン、・・・ポコン、ポコン・・・・

水温14℃。しばらく水に浸かっていると下半身がかなり冷えてきます。

まだ、時期的に早かったか?

ポコン、ポコン・・・ポコン、・・



ドバ!



サイズは46cm。

こんな激しい出方も久しぶりでした。



やはりラバースカートが威力を発揮したのでしょうか?

すくなくともそう思わせるような、激しいバスの一撃でした。



今年も、とりあえずシーズン突入です。

皆さんもよい釣りを!



おわり


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