レポート・釣行記   リストへ戻る

ガーバブルバグの巻 2013年12月4日
天候:晴れ

突然、無性にガーバブルバグを作りたくなりました。

きっかけは↓の看板です。




これはMatt Zudweg氏というアーティストが手がけるビンテージ看板です。

http://www.carvedfish.com/


一作品として製作したものなので、実際にこの看板が実在したかというと、

じつはそうではないようです。


ただ、製作にあたっては、ミシガン州のフィッシングガイドが関わっている

ということなので、内容的にはそれなりに拘ったものとなっています。


注目していただきたいのは、この看板に描かれているガーバブルバグです。

フロントには、なにやらプレートのようなものが付いております。


じつはこれ、かなり古いバグに見られる金属製のリップで、

ボク的には「ポッピングリップ」と呼んでいます。

たとえばボクが持っているオールドバグのコレとか、



ポッピングリップつきのバグは、例えばebay等で

1920年〜1940年ごろのお祖父さんのタックルボックスに入っている、

極めて普通のバスバグなのです。


そんなことを合わせて考えると、

このリップまで描かれているガーバブルバグの絵は、

かなり信憑性が高いと思うわけです。


ここで言っている信憑性とは、

トム・ラビング自身のオリジナルのガーバブルのことです。


彼のオリジナルのガーバブルバグの形が、どんなものだったのかは、

アメリカのアングラーの間でも謎とされているからです。

トム・ラビング自身が示した写真、絵などが一切残っていないのが原因です。


なるべく古い文献で唯一あるものとして、

1947年コピーライトのJoe Brooksの「BASS BUG FISHING」があります。

一般的にはそこに描かれているガーバブルをオリジナルという人が多く、

材料もバルサという意見もあれば、コルクだとする人、

さらに、両サイドのハックルウィングの作成方法も、

最後にスリットを入れるという意見もあれば、

2ピースの材料を最初からサンドするという意見もあります。

いずれにしても

誰もオリジナルを見たことがないまま、この形が、A.D.リビングストン、

ディブ・フィットロックのディアヘアボディの基となっているのです。



ただ、ボクがいろいろ見た感じでは、これはちょっと怪しいです。

なぜなら

この本には他にも、同世代のバスバグとして、

あのバックテイルフロッグなどが紹介されているのですが、

その記載はオリジナルとはかなり異なった内容です。


考えてもみれば、そもそも1920年当時より、

Joe・Messingerのバックテイルフロッグのタイイングは、

いわば企業秘密のようなものであり、

意図的に誰も作れないように封印されていたそうなので、


このガーバブルバグにおいても、本人から直接買うか、

タイイング方法を教わらないかぎり、

オリジナルを手にすることは出来なかったはずです。


後になってこんなふうに作っていたのか!

というのが、このビデオです。



今から20年前に

ジョー・メッセンジャーの息子さん(といっても、もうかなりの高齢)

から直接入手したものですが、

そのユニークなタイイング方法は驚くべきものでした。


いずれにしてもトム・ラビングのガーバブルのオリジナルが

どんなものだったのかは、だれも証明することが出来ないのです。


そこで改めて見て頂きたいのが、この看板です。



こっちが本物なのでは?

一瞬そう思ってしまいそうなユニークなフォルム、

角ばったボディ、ロボットのような顔つきは

今まで見たことがない、きわだった異彩を感じます。


この看板の作成に協力したとされるミシガン州のフィッシングガイドが

どんな人なのかはわかりませんが、

トム・ラビングのオリジナルのガーバブルが、もし本当にこれだとしたら、

この看板はとても価値があるものです。

まあ、実際に、この作品は700ドルで売ってますが...(笑)


とにかく、

これだったら個人的にも納得がいく、という感じなのです。


ということで、前置きが長くなりましたが、ここからがバグメイキングの話です。


このひときわ異彩を放ったガーバブルを最新のテクノロジー?で

作ってみようと思い立ち、3Dモデリングソフトを使って、

ああでもない、こうでもないと、悪戦苦闘すること一月あまり。






ようやくできたボディがコレです。



アウトラインが非常にシンプルなので、

内部構造には思いっきり拘りました。

名づけて、パラレルツイン・チャンバー構造。

まるで2ストバイクのような構造です(笑)


このチャンバーに10個づつ、極小のグラスラトルボールを入れ、

蓋をして振ってみると、シャッ、シャッ、シャッ

うーんいい感じ。

フック接着後、下のプレートを取り付けることで、

0.3mmのハックル用スリットが出来るようにもなっております。



ということで、

かなり看板のイメージ近いヘッドが出来ました。

両サイドとテールのハックル、そしてフロントのポッピングリップは

これから実際に水に浮かせてみて、

いろいろ試した後に決めたいと思っております。

とりあえずボディは、これでよろしいかと...。

来シーズンはぜひこれでビッグバスを釣ってみたいものです。

この異彩を放ったガーバブル、果たして釣れるのか?

まだオフシーズンに入ったばかりですが、来シーズンが楽しみです。


おわり


リストへ戻る